シェーグレン症候群の検査と治療法について -シェーグレン症候群は何科を受診すべきか?

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シェーグレン症候群の検査と治療法について -シェーグレン症候群は何科を受診すべきか?

中村 正

中村 正先生医療法人桜十字 桜十字病院

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シェーグレン症候群とは、主に目の乾き(ドライアイ)や口の乾燥(ドライマウス)などの症状が現れる疾患です。これは体の免疫異常によって涙腺唾液腺に代表される腺組織に異常が現れることが原因だと考えられています。

症状は目や口の乾燥ですが、根本原因は免疫の異常にある、こういった疾患はどの診療科を受診すべきでしょうか。またシェーグレン症候群を明らかにする検査、症状を改善に導く治療はどのように行われるのでしょうか。引き続き、桜十字病院(熊本)院長補佐 リウマチ膠原病内科の中村正先生にお話を伺いました。

シェーグレン症候群に気づくには -何科を受診すべき?

シェーグレン症候群の可能性に気付き、各症状に特化した検査を受けることが重要

シェーグレン症候群の主症状であるドライアイやドライマウスは、比較的ありふれた症候です。春になると多くの方が発症する花粉症でも、目がゴロゴロするなどの不快感が現れます。

シェーグレン症候群はそうしたよく認められる症状と誤認されやすく、疾患の発症に気づかない患者さんが多くいます。まずはシェーグレン症候群の存在を知り、医療機関で適切な検査を受ける機会を作ることが重要です。

目や口の症状であっても、リウマチ膠原病内科などを受診するのが望ましい

シェーグレン症候群の患者さんは、分泌腺の機能に関連した症状が現れることから、眼科、歯科口腔外科、婦人科などを最初に受診することが多いです。

しかし、目や口の症状であっても、可能であればリウマチ膠原病を専門に診療できるリウマチ膠原病内科などを受診してほしいと考えています。その理由は、シェーグレン症候群である場合、患者さんが感じる症状が目や口の乾燥だけであったとしても、実際は全身の症状が隠されている可能性があるためです。

シェーグレン症候群の症状でもご紹介した通り、自己免疫性疾患であるシェーグレン症候群は全身に渡って病変が現れることがあります。こういった隠れた症状を早期発見するためにも、リウマチ膠原病を専門に診察している診療科を受診し、全身状態をチェックすることが望ましいといえるでしょう。

検診や他診療科からの紹介で疾患に気が付くケースもある

こういった気付きづらいシェーグレン症候群の発症はどのようにして発覚するのか、当院の実例をいくつか挙げてみます。

ケース① 検診によって疾患が発覚したパターン

当院にいらっしゃった患者さんで、50代の男性の方のケースをご紹介します。こちらの患者さんは営業の仕事をされており、最近商談で人と会話をする際に数年前までは感じなかった口の乾きを感じるようになっていました。

そのような中、糖尿病の検診で医療機関を受診し血液検査をしたところ、シェーグレン症候群に特異的な自己抗体(抗SS-A抗体と抗SS-B抗体)の検査で陽性ということがわかりました。こういった検診によってシェーグレン症候群が発覚するケースもあります。

ケース② 他の診療科からの紹介で来院されるパターン

すでにご紹介したように、シェーグレン症候群は眼科、歯科口腔外科、婦人科など数多くの診療科を受診されているケースがあります。そういった診療科での診察時に、シェーグレン症候群の疑いがあると医師が判断した場合には、リウマチ膠原病内科の診療科へ紹介します。

シェーグレン症候群には全身に渡って様々な病変がみられるため、それぞれに応じた検査が必要です。リウマチ膠原病を診察している診療科を受診し、検査を受けることで、シェーグレン症候群の診断ができます。

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シェーグレン症候群の検査と診断基準

目には目の検査など…各病変に応じた検査が必要になる

シェーグレン症候群は様々な部位に症状が現れるため、各病変・症状に応じた検査が必要です。

【目の検査】

シルマーテスト

涙の分泌量を調べる検査です。下まぶたと眼球の間に試験紙を挟み、どれくらい試験紙が濡れるか測定します。

ローズベンガルテスト

(蛍光色素試験)

乾燥によって角膜や結膜が傷ついているかどうかを調べる検査です。専用の染色液を点眼し、角膜を染色することで、角膜や結膜の傷を評価します。

涙腺生検

(生検病理検査)

涙腺組織に浸潤したリンパ球の量や質を調べる検査です。

 

【口の検査】

ガムテスト

唾液の分泌量を調べる検査です。ガムを10分間噛んだときの唾液の分泌量を測定します。

画像診断

(レントゲン・唾液腺造影・CT・MRIなど)

唾液腺に異常が現れているかどうか、画像診断によって評価する検査です。

唾液腺生検

(生検病理検査)

唾液腺組織に浸潤したリンパ球の量や質を調べる検査です。

【血液検査】

シェーグレン症候群は自己免疫疾患であるため、血中に自己抗体(特に抗SS-A抗体抗SS-B抗体など)が出現します。これを調べるために採血して検査を行います。

シェーグレン症候群の診断基準

今のところ、シェーグレン症候群を特異的に診断できる検査項目は存在しません。そのため1つの検査結果だけではなく、いくつかの検査結果で陽性の結果を得ることが必要です。どの検査結果で陽性が得られれば診断が可能かということは、診断基準に記載されています。

現在主に活用されている診断基準には、1999年に発表された旧厚生労働省のものと、2012年に発表された米国リウマチ学会のものがあります。

【シェーグレン症候群診断基準】(厚生労働省,1999年)

<診断基準>

1.生検病理組織検査で次のいずれかの陽性所見を認めること

A)口唇腺組織でリンパ球浸潤が 4m㎡当たり 1focus 以上

B)涙腺組織でリンパ球浸潤が 4m㎡当たり 1focus 以上

2.口腔検査で次のいずれかの陽性所見を認めること

A)唾液腺造影で stage I(直径 1mm 以下の小点状陰影)以上の異常所見

B)唾液分泌量低下(ガムテスト 10 分間で 10mL 以下,またはサクソンテスト 2 分間 2g 以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見

3.眼科検査で次のいずれかの陽性所見を認めること

A)Schirmer 試験で 5mm/5min 以下で、かつローズベンガルテストで陽性

B)Schirmer 試験で 5mm/5min 以下で、かつ蛍光色素(フルオレセイン)試験で陽性

4.血清検査で次のいずれかの陽性所見を認めること

A)抗 SS-A 抗体陽性

B)抗 SS-B 抗体陽性

<診断>

以上1、2、3、4のいずれか2項目が陽性であればシェーグレン症候群と診断する。

(厚生労働省研究班、1999 年)

【シェーグレン症候群診断基準】(米国リウマチ学会,2012年)

下記 3 項目中、2 項目以上を満たす場合シェーグレン症候群と分類する。

1. 抗SS-A抗体または抗SS-B抗体陽性

あるいはリウマトイド因子陽性かつ抗核抗体 320 倍以上

2. 口唇唾液腺生検でフォーカススコア 1 以上

3. 染色スコア 3 以上の乾燥性角結膜炎

(除外基準:頭頸部に放射線治療を受けた既往のある者、C型肝炎,AIDS,サルコイドーシス、アミロイド―シス,移植片対宿主病,IgG4 関連疾患)

*角膜は蛍光色素染色、結膜はリサミングリーン染色、0 ~ 12 点/片眼のスコアリングシステム

Shiboski SC, et al : American College of Rheumatology classification criteria for Sjögrenʼs syndrome : a datadriven, expert consensus approach in the Sjögrenʼs International Collaborative Clinical Alliance cohort. Arthritis Care Res 64 : 475―487, 2012.より(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22563590)

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執筆/インタビュー

中村 正
中村 正先生

医療法人桜十字 桜十字病院

1984年熊本大学大学院医学研究科修了後、熊本大学医学部免疫医学研究施設アレルギー部門・研究員、鹿児島大学医学部内科学第一講座・医員を経て、米国ミシガン大学メディ

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1984年熊本大学大学院医学研究科修了後、熊本大学医学部免疫医学研究施設アレルギー部門・研究員、鹿児島大学医学部内科学第一講座・医員を経て、米国ミシガン大学メディカルセンター・客員上級研究員となる。その後、熊本整形外科病院リウマチセンターやくまもと森都総合病院でリウマチ膠原病内科の部長を務め、2017年桜十字病院 院長補佐に就任。リウマチ膠原病内科を専門分野として数々の講演会で講師を務める。桜十字病院では、近年大きく進歩しているリウマチ膠原病の治療を地域住民が等しく享受できるよう診療を続けている。

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