医工連携・産学連携と新開発―医療機器の新たな発明

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医工連携・産学連携と新開発―医療機器の新たな発明

根本 慎太郎

根本 慎太郎先生大阪医科大学附属病院小児心臓血管外科診療科長

先天性心疾患に限らず、すべての手術において、精巧な手術器具や手術材料は欠かせない存在です。大阪医科大学附属病院小児心臓血管外科診療科長の根本慎太郎先生は、自ら執刀をするのみならず、これら手術材料の開発にも従事されており、「医工連携」や「産学連携」が重要であるとおっしゃいます。根本先生に詳しく解説していただきました。

心臓手術の問題点―ほとんどの手術材料は海外製品

子どもの心臓は例えるならば打ちっぱなしのコンクリートです。つまり、体の成長とともに心臓も大きくなっていくため、幼いころに手術をしてつくった間仕切りやドアは生涯持つことはなく、患者さんの成長に合わせて間仕切りもサイズアップしなければなりません。

実は、今日まで心臓手術に使われてきた材料はすべて海外製です。具体的には牛の心膜やゴアテックス、ポリエステルなどの材料を用いており、これらをパッチとして穴を塞いだり、血管を拡げたりしています。

しかしこれら全ては海外製であり、これらに頼るあまり、もしアメリカで何かあったら日本でも使えなくなります。農作物と同じように、国産でないものは供給体制が安定していないのです。このような状況が続くと、いずれ先天性心疾患の手術は、材料がないから日本ではできないということにすらなりかねません。このように海外に頼っている現状を、どうにかして変えていかなければなりません。

子どもの体の成長に現在の手術材料はついていけない

子どもの体は成長するにつれて、心臓も血管もサイズが成長します。最初は小さくて細くてせまい血管が徐々に広がっていきます。成長に合わせて手術材料をうめた部分も成長してほしいですが、そうはなりません。そのため、体が大きくなったら手術した場所が狭くなってしまいます。牛の心膜を使っていれば石灰化して硬くなり、ヘドロのような物質が堆積していく可能性もあります。そのようにして血管はどんどん狭くなっていきます。また、人工物は感染に弱いという特徴があるため、すぐにばい菌がついてしまいます。

そのため、大きくなってからうめ込んだ手術材料を交換する再手術をしなければいけないということが多々発生します。小さいころはまだ時間に融通が利きますが、大人になってからだとたとえば大学受験の間近、社会的に重要なポジションになったときなど、どうしても時間をとれない時期があるでしょう。しかし、そのような大事な時期であっても再手術をしなければならない場合があります。

この問題を解決するために、再手術をしなくていいような素材があったらいいのではないかと私は考え続けてきました。

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執筆/インタビュー

根本 慎太郎
根本 慎太郎先生

大阪医科大学附属病院小児心臓血管外科診療科長

新潟大学医学部を卒業後、東京女子医科大学、米国サウスカロライナ医科大学、米国テキサス州ベイラー医科大学、豪州国メルボルン王立小児病院、マレーシア心臓病センターなど

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新潟大学医学部を卒業後、東京女子医科大学、米国サウスカロライナ医科大学、米国テキサス州ベイラー医科大学、豪州国メルボルン王立小児病院、マレーシア心臓病センターなど海外各地での経験を経て、大阪医科大学附属病院小児心臓血管外科診療科長。フォンタン手術などの難手術をこれまでに数多くこなし、先天性心疾患をもつ多くの幼い命を救ってきた。自らが数多くの臨床を受けるかたわらで、医師や大学、企業などの垣根を超えた地域全体での医療体制に向けた取り組みや、新しい手術製品の新開発など、未来を担う子どもたちのために幅広い活躍を見せている。

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