脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の検査―現状とその課題

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脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の検査―現状とその課題

高橋 浩一

高橋 浩一先生山王病院脳神経外科 副部長

「脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)」という病名を聞いたことはあるでしょうか? 日本ではあまり知られていない病気であり、この病気に関しては原因の解明から治療方針に至るまで、さまざまな議論がなされています。
脳脊髄液減少症にはどのような検査を行っていくのでしょうか? 長年にわたり脳脊髄液減少症の診療に携わってきた、山王病院脳神経外科副部長の高橋浩一先生にお話をお伺いしました。

脳・脊髄MRI

髄液減少病態は、脳MRI・脊髄MRIなどにより評価可能です。具体的には以下のような所見を認めます。

脳MRI所見

  • びまん性硬膜増強効果(造影MRIによる)
  • 脳下垂
  • 高位円蓋部硬膜下腔/くも膜下腔の拡大
  • 硬膜下血腫
  • 脳室狭小化
  • 下垂体腫大
  • 頭蓋内静脈、静脈洞拡張

 

脳脊髄液減少症の造影MRI

造影MRI

 

脊髄MRI所見

  • くも膜下腔外の液体貯留
  • 硬膜外液体貯留
  • 硬膜造影
  • 硬膜外静脈叢拡張

RI(放射性同位元素)脳槽シンチグラフィー

RI脳槽シンチグラフィーは、腰から針を刺して(腰椎穿刺)、RIを髄腔内に注入します。
経時的(経過する時間順)にガンマカメラ(放射線量の高低を色で確認できるカメラ)で全脊椎を撮影する事により、RIを介して髄液の流れをみる事ができます。この作用を利用して、脊髄硬膜からRIが漏出しているかが、確認されます。

代表的な所見は、「髄液漏出像」という直接所見です。またRI脳槽シンチグラフィーでは、RI集積量を経時的に定量できるという利点があるため、RI残存率が算出できます。脳脊髄液減少症症例ではRI残存率の低下が認められます。これは間接所見と言われる重要な所見です。

 

脳脊髄液減少症のRI脳槽シンチグラフィー 53歳男性 頚椎、胸椎、腰椎レベルより多発性に髄液漏出像(矢印)を認める。

RI脳槽シンチグラフィー 53歳男性 頚椎、胸椎、腰椎レベルより多発性に髄液漏出像(矢印)を認める。

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執筆/インタビュー

高橋 浩一
高橋 浩一先生

山王病院脳神経外科 副部長

東京慈恵会医科大学を経て現在は山王病院脳神経外科で副部長を務め、日本脳神経外科学会評議員を兼任。脳脊髄液減少症の診療に長年携わり、多数の臨床経験を持つ。また、脳脊

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東京慈恵会医科大学を経て現在は山王病院脳神経外科で副部長を務め、日本脳神経外科学会評議員を兼任。脳脊髄液減少症の診療に長年携わり、多数の臨床経験を持つ。また、脳脊髄液減少症の治療であるブラッドパッチの第一人者。2000年、小児脳神経外科学会年間最優秀論文を受賞。

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